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マゼンタ(クイン・バイオレット)

      • 化学物質の概要: キナクリドン

      • 顔料番号: PR122

      • 耐光性評価: ASTM I

      • 顔料の不透明度: 透明

      • 絵の具の不透明度: 透明

      • シリーズ3

      奇妙な矛盾に見えるのですが、マティスの色の範囲の中でキナクリドン・レッドの顔料バイオレット19を使っている赤色が何色かあるのですが、このマゼンタ(クイン・バイオレット)は本物のマゼンタ・バイオレットにもかかわらず、レッド122の顔料が使われています。これはマティスの化学者の手品でもなんでもなく、顔料そのものの化学的性質の基本原理が元になっています。1958年に初めてこの顔料が合成された時の基本形の分子は、全くの期待外れで失望されました。これはアルファ・フォームと呼ばれ、不安定なことが判明したため使い物にはなりませんでした。 

      しかし、化学者たちはそれでは諦めませんでした。そして後に続くベータやガンマ・フォームの構造は、それぞれ美しいバイオレットやレッドを作り出すだけではなく、耐光性、耐風化、そして化学薬品などに対しても高い耐久性があることがわかりました。これらは、それぞれバイオレット19顔料、レッド122顔料の品種として登録されました。時とともに化学者たちは製造工程を多様化することで、この二つの顔料から7つの違った結晶構造を作り出すことができるようになりました。そして結晶構造が色相を変える事から、キナクリドン・レッド、ローズ、バイオレットが、原型から作られるようになるのに時間はかかりませんでした。今日では、このキナクリドン・ファミリーは、顔料番号、PO48、PO49、PR206、そしてPR209などのゴールド、ダーク・オレンジなどにも使われるくらい成長しました。マティスのマゼンタ(クイン・バイオレット)は1958年に初めてアクリル絵の具が発売された時に入手できた、初めのキナクリドンの色と同等です。

      アクリル絵の具が初めて販売された1956年には、アクリル絵の具は新しい画材というだけではなく、最先端のテクノロジーと芸術の実験的な表現手段で、ジャクソン・ポロックなど近代主義者の最先端の新しい試みに多く使われました。これらのアーティストたちは、新しい色に加えて新しい方法の表現手段を探しており、アクリル絵の具の製造会社は色々な試みをアーティストたちの要望で試していました。そのため、アーティストの新しい色はアクリル絵の具で試されて、その後もっと伝統的な画材で作られるようになりました。そしてこのアーティストの要望は逆転の効果も現れました。新しい色を使ってみたいということを理由にアクリル絵の具への引きつけられるアーティストが増えました。 

      マゼンタ(クイン・バイオレット)は、そのうちの一つの色です。キナクリドン顔料はとても新しい色で、他の画材では手に入らない色でした。とてもよく似た色はあったのですが、数カ月以上作品を残したい場合には使えない、大変不安定な色でした。マゼンタ(クイン・バイオレット)の驚くべき新事実は、永続性の高い色であることと、以前は不可能であった混色が可能であることでした。ブルーととても綺麗に混ざり、明るいバイオレットやパープルを作る事が出来、鳥の羽や蝶などの並外れた美しい色を作る事ができます。便利な情報として、イリディーセント・ホワイトやマティスのMM24イリディーセント・メディムを少し混ぜる事でとても綺麗な色ができます。メディウムと混ぜる時は、そのエリアにチューブから出した色を塗っておくといいでしょう。この場合、黒っぽい色を下に塗る事で効果が上がります。そしてマゼンタ(クイン・バイオレット)とイリディーセント・メディムを混ぜたものを上から塗ります。こうする事で、ちらちらと光る効果が高くなります。マゼンタ(クイン・バイオレット)は、伝統的な方法にもとても使い勝手がいいのです。アースカラーとの混色によって、温かみのある透明度の高いアンダートーン(下色)を作る手助けができ、別の方法ではくすんだ色までの変化を作る事ができます。この色の持つ透明度が、グレージングのテクニックを可能にさせたり、他の色との混色の際、少しの調節で美しい色を再現させたりする事ができます。例えば、美しい織物、おもちゃ、車や壁の色や世界中にある無数の人間に作られた物などの、これまでには自然界に存在しなかった物で、私達の絵の被写体として現れ得る物の色を再現する事ができます。

       

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